患者さんに心から「ありがとう」と言っていただける医療を

この度は弊社ページお越しいただき、誠にありがとうございます。当社は平成19年に開業いたしまして、平成22年に療養通所介護を併設いたしました。これまであまり実態について周知させていただくこともございませんでしたが、医療職の方や白治体の方、メディアの方からの問い合わせも散見されるため、この度、フェースブックの開設と併せて情報発信をさせていただく運びになりました。
今回は、私が新人医療職として駆けだしたころの、ある初老の患者さんのエピソードをお話しさせていただきます。私の医療職としての原点です。

介護保険の始まりとともに私は在宅の仕事を担当するようになりました。当時の私は学校で習った通りに手を尽くし、その患者さんも順調に回復していきました。歩行も安定、手指の機能も改善し、ほぼ日常生活には困らない程度にまで回復していったと記憶してお ります。とある日、ご自宅に訪問した折、呼び鈴をいくら鳴らしても患者さんは出てきません。中で倒れでもしているのではないかと恐る恐るドアを開けてみると、変わり果てた患者さんの姿が目に飛び込みました。自らの意思で命を絶っていたのです。卓袱台の上に「先生ごめんなさい」と遺書がありました。
思い知らされました。身体の回復は必ずしも幸福には資さない。回復した手の機能を活かして患者さんは縄を結って命を絶ちました。思い返せばー向に見通せない人生、孤独、孤立が患者さんを追い詰めていったのだと思います。

木を見て森を見ず、医療職が陥りやすい罠ではないでしょうか。今では患者さん自身はもちろんのこと、ご家族、居住環境、ご近所の方、主治医との関係、ケアマネさんとの関係、ヘルパーさんとの関係、すべてに目を光らせて現場に臨んでいます。

患者さんと最期まで在宅生活を紡ぎあげていく。最期の最期まで揺れ動く患者さんの心に寄り添いながら、患者さんに心から「ありがとう」と言っていただける医療をローズは目指しています。
ローズ訪問看護ステーションとローズ療養通所介護。我々は地域に対してユニークな貢献を果たしていると自負する次第です。今後はこの訪問事業と通所事業が具体的にどのような取り組みをしているか、社内で起きている議論など掲載していく予定です。どうかお付き合いのほど、宜しくお願い申し上げます。

 

代表取締役 山崎 岳人

 

医療を受けたその先に何があるのか

「あの別荘どうなっているかな…」

脳梗塞後遺症で左片麻痺と高次機能障害がのこる患者さん。リハビリの最中に唐突に放った言葉である。

「Aさん!もう一度別荘行きましょうよ」

ローズにボランティア部が立ち上がった瞬間である。

 

当社のボランティア部の目的は社会参加と自立支援である。そして、自立の定義を以下に定めている。

「たとえ身体が不自由になり日常生活で介助者のケアを必要としても、自らの人生や生活のあり方を自らの責任において決定し、また自らが望む生活様式を複数ある選択肢から選択して生きていくこと」

そのための現実的な(実現可能な)選択肢を獲得していくために、我々は患者さん利用者さんとともに行動していく。

 

Aさんは若いころ、いつか別荘を手に入れることが夢であった。夫婦で子育てをしながら、こつこつと貯めた貯金でやっとの思いで夢を現実のものにすることができた。

子育ても一段落し、時間的にも経済的にも余裕ができたときに障がいを負うことになる。

 

もう一度行きましょうの声かけにAさんの返答は以下であった。

「もう少しリハビリをがんばったらいくよ」

現在の身体状況では別荘に行っても楽しむことができない。それがAさんの主張であった。

「Aさん、リハビリをすることは目的ではないですよ。生活や社会参加、外出をするうえで必要なことを訓練する。それがリハビリテーションです」

 

その後、別荘で一泊することを実現し、バーベキューや暖炉の火おこしの際、不慣れな同行スタッフを指導する時にリハビリ時のそれを大きく超えた身体能力をみせたこと、2回目以降の別荘旅行に向けて、現実を見据えたリハビリ内容となり、A氏のモチベーションも大きく向上したことは言うまでもない。

 

医療を受けること。それはその先になにがあるのかが大切であると実感した経験である。

ローズ訪問看護ステーション 高円寺

所長 今田 修一